どうも現役メガバンカーのくれです。
今回は、投資信託を始める前にしっかりと理解しておくべき「投資信託のコスト」についてわかりやすく解説します。商品を選ぶ上で、一つの基準になるのが「コスト(手数料)」です。
投資信託の関係者を整理しよう
投資信託のコストを理解する上で、まずは投資信託の関係者を整理しましょう。
関係者を覚えることで、これから説明するコスト(手数料)がどの関係者と紐づいているのか理解しやすいですよ。
- 投資家
- 販売会社…銀行や証券会社
- 運用会社(委託会社)…会社名にアセットマネジメントや投信顧問とつくことが多い
- 信託会社(受託会社)…信託銀行
これだけは覚えよう!投資信託の3つのコスト
販売手数料(購入時手数料)
販売手数料は、投資信託を買う時に支払う手数料のことです。
販売手数料を受け取るのは、販売会社です。
販売手数料は、投資信託を購入するときに販売会社に一度だけ支払う手数料です。
「ノーロード型投資信託」と呼ばれる商品があります。
これは、販売手数料が無料の商品です。
2019年9月のSBI証券を皮切りに、大手のネット証券が相次いで「販売手数料の完全無料化」を発表しました。
- 楽天証券
- マネックス証券
- 松井証券
- auカブコム証券
米国では、すでに「販売手数料の無料化」の動きが加速しており、日本も追随した形です。
無料化できる理由は以下のようです。
- 販売会社の収益源の多様化
- AIによるコスト削減
また、インデックス連動型の投信や、NISA向けのバランス型投信などの多くがノーロードで展開されています。
信託報酬(運営管理費用)
信託報酬(運営管理費用)は投資信託を保有している期間中に、毎日支払われる手数料です。
全ての投資家に一律の料率が適用されます。
信託報酬は投資信託説明書「目論見書」に年率で記載されていますが、実際には日割りされています。
信託報酬は下記のような費用を賄うためのものです。
- 運用にかかる費用
- 運用報告書の作成費や発送費
- 資産の保管
信託報酬を受け取るのは、販売会社、運用会社、信託会社
- インデックスファンド は信託報酬が低い
- アクティブファンドは信託報酬が高い
ただし、信託報酬の高さは、パフォーマンスに比例しません。
信託報酬が高いから「利益が上がりやすい商品」とは言えないんです。
信託財産留保額
投資信託を解約・売却するときにかかる費用です。
信託財産留保額は、販売会社・運用会社・信託会社へ支払われるコストではなく、信託財産(ファンド自体)に残ります。
投資信託は、いろいろな株や債権などのポートフォリオを組んで運用されています。
その株や債券を解約するときに、もちろんコストがかかっています。
投資信託の多額の解約によってファンドの運営に支障が生じないために、信託財産留保額が設定されています。
大口投資家の解約によるコストを既存の投資家から徴収するのは、不公平ですよね。
信託財産留保額は、投資家間の公平を期するための資金なので、厳密には「手数料」ではありません。
その他のコスト
投資信託の投資をする上で最低限知っておくべきコストの説明は終わりです。ただし、他にもコストはあります。
- 監査報酬
- 売買委託手数料
投資信託の決算ごとにかかる費用です。
支払先は監査法人です。
ファンドの中の株式や債券を売買する際に発生するコスト
信託財産から差し引かれています。
信託報酬の中の「運営にかかる費用」に内含されると考えることもできますね
つみたてNISAは手数料が低い商品が多い
今まで説明した手数料は、合計するとかなりの利率になります。これは、日本で投資信託が流行らない原因の一つとして問題視されてきました。
しかし、手数料は下がっていく傾向にあります。ネット証券の無償化の流れも前段で説明した通りです。
そのような中で、特に初心者にオススメなのは「つみたてNISA」です。
つみたてNISAでは、ノーロードの商品を扱っているだけでなく、信託報酬や信託財産留保額も比較的低い商品を揃えている証券会社が多いです。