経営指標シリーズです。
上場会社の財務部門と会話する中でも頻繁に出てくる用語です。
投資家としても覚えておくべき基礎知識なのでしっかりと理解しましょう🎶
ROICとは?
ROICとは、投下資本利益率、Return on Invested Capitalの略です。
投下した資金を使っていかに効率的に利益をあげれたかを見る指標として使われています。
計算式を見ると理解がしやすいので先に計算式を教えます。
ROIC=税引後営業利益÷(株主資本+有利子負債)
税引後営業利益=営業利益×(1ー実効税率)
利益額だけを見るのはナンセンス
企業の財務状況を検討するにあたって「利益の額」だけをみるのはナンセンスです。
投下した資金の額に対して、どれだけの利益を生み出せたか。
これによって効率の良さが現れます。
- 10の資本を投下して50の利益を生む会社
- 100の資本を投下して100の利益を生む会社
バカにしたような質問でごめんなさい。
でも、大事な考え方なので頭を整理するために質問しました。
企業Aと企業Bを比較した時に、単純に利益の額だけで比べると金額が同じなのでどっちが優秀なのかわかりません。
そこで、投下した資本がどれくらいの金額なのかを比べることで効率性の部分で差が生まれるのです。
ROEよりもROICが重要視される理由は?
有名な経営指標にROAやROEがあります。
しかし、最近はRORAがそれらよりも重要視されています。
それはなぜでしょうか?
ROEは比較的容易に操作できてしまう
まずは、ROEの計算式を見てみましょう。
ROE=当期純利益÷自己資本×100%
自己資本=純資産-新株予約権-少数株主持分
- 増配をする
- 自社株買いをする
増配や自社株買いをすると、「株主資本」が減ります。
配当は純資産の「利益剰余金」から充当されます。
配当をすることで株主資本が減らすことができます。
また、自社株買いは、株価が下がっているときに企業が株主に対して「うちの会社の株価はこんなに低くない!もっと評価は高くてもいいだろう!こんな安い株価なら自分で買っちゃうぞ!」という感じで買い付けます。
その買った自社株式は「消却」をすることで株主資本を減らすことができます。
ROEの数値は、分母が減ることで改善するのです。
ROAは負債の大きさを反映できない
ROAも完全な指標とは言い切れない点があります。
まずは、計算式を見てみましょう。
ROA=当期純利益÷総資産×100%
分母が総資産です。
つまり、負債ばかりの企業も純資産が非常に厚い企業も「当期純利益」の額が一緒だとROAは同じ値が出てしまいます。
前提:総資産は同じ100、当期利益も同じ100
- 企業A 総資産のうち、負債が80
- 企業B 総資産のうち、負債が20
ROAで評価すると二つの企業はどちらも同じ数値で出てしまうのです。
企業Aと企業Bがどちらが良い企業でしょうか?
一見負債が多い企業Aが悪い企業とみれますが、
株主からすると少ない資本で多くの利益を出しているとも言えます。
銀行など債権者からすると負債が大きい企業は安全性が低い企業とみなします。
立場によって、負債が大きいことはよかったり悪かったりします。
一つの指標で判断することがいかにダメなことか理解いただけましたでしょうか?
ROICはどのくらいならいいの?
ROICはWACCと比較して評価されます。
ROIC>WACC
WACC以上のROICであることが企業には求められます。
WACC(Weighted Average Cost of Capital:加重平均資本コスト)
WACCは、株主資本コストと負債コストをそれぞれの時価で加重平均して求めます。
今回は、WACCの解説は割愛します。
銀行員がオススメの投資を紹介
ROICを調べるあなたはかなり投資に関心が高い方でしょう。
現役銀行員が、そんなあなたにオススメな投資をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてくださいね🎶
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